- 中村 暢次
“神は細部に宿る”
最終更新: 2020年4月14日
みなさまこんにちは!
世の中には名言や格言と呼ばれるものが数多く存在し、それらの言葉は、私たち今を生きる人間の背中を、そっと後押ししてくれます。
そのような言葉のなかで、座右の銘という訳ではないのですが、私は“神は細部に宿る”という言葉を常に心の片隅に備えて生活しております。
もともとこの言葉は、ドイツの著名建築家が提唱し、世界的に有名になったものでありますが、“ディテール(細部)にこだわってこそ作品の本質が決まる”といった内容で、一般的には、“全ての物事は、細かいところまで気を配らなければならない”という意味合いで捉えられております。
話の軸が少しぶれますが、私は14年前に妻から開業祝いとして贈られたルイ・ヴィトンの財布を未だに愛用し続けております。
限られた予算の中、当時の妻としては恐らく清水の舞台から飛び降りる思いで買ってくれたものと推察し、ずっと大切に使おうと考えておりましたが、振り返ってみますと、Gパンの尻ポケットに無理矢理押し込んだり、水溜まりの中に水没させてしまったりと、結構手荒な扱いをしてきました。
ただ、そんな扱いを受けてきた財布の細部を改めてじっくり観察してみますと、(当然のごとく相応の経年劣化はありますが)大きなヘタリやほつれは無く、均等に折り込まれた表革のエッジ部分や、精密に縫い込まれたステッチ部分などに至っては、芸術的なまでの美しさを保持しております。
熟練した職人による縫製技術の賜物といえますが、このように、普段消費者が気付きにくい箇所にこそ丁寧な仕事ぶりが求められ、それが結果として商品やブランドそのものの価値を押し上げているのではと考察します。
そういう意味では、職種は違えど、技術が求められる仕事に携わる者として、私自身非常に共鳴する部分を感じます。
例えば、患者様に対する包帯やテーピングの施行ひとつとりましても、巻き方や貼り方によって、その後の症状経過が大きく左右されます。
基本的な処置にこそ神を宿わせる気持ちが必要なのです。
当院では、患者様には伝わりにくい様々な細かい部分にまで配慮することが重要であると考え、日々精進しております。